犬の殺処分における現状



 人々の暮らしが豊かになっていく一方で、今もなお、無責任な飼い主による飼育放棄、迷子の犬、所有者がいない犬等、行き場を失うワンちゃんたちの存在があります。

 

彼らは、自治体の動物愛護センターや保健所に引き取られ、その自治体に収容される犬の数はこの5年間で半分近くまで減少していますが、依然、年間4万頭にものぼります。

 

そして、日本における犬の殺処分数は平成24年度から平成28年度で、年間3万8千頭→1万頭と5年間で約3万頭と減少の傾向にあるものの、まだまだ多くの犬達がやむを得ず、殺されています。

 

無責任で身勝手な飼い主や業者が、保健所や動物管理センターに持ち込み、見捨てられ、殺処分される犬達。

 

最初のうちはかわいがっていた犬を身勝手な理由で、いとも簡単に命を捨ててしまう飼い主が後を絶たず、こうした無責任な飼い主が犬猫を保健所や動物愛護センターに持ち込み、自治体に殺処分をさせています。

 

また、飼い犬に何度も子犬を産ませては繰り返し持ち込んだり、動物取扱業者や個人ブリーダーなどが売れ残った犬を持ち込んだりといったケースも少なくないです。

 

 新しい飼い主が見つかる確率はわずかで、収容期限(自治体によって異なる。平均4~5日)が過ぎると、犬は殺処分されます。

 

犬を閉じ込めた処分機に、二酸化炭素(CO2)を充満させ酸素を抜いていく方法で、殺処分していきます。

この方法をほとんどの自治体が採用していますが、この窒息殺は息絶えるまでに10~15分も苦しみます。

 

決して、「安楽死」ではないのです。

  

人間の都合で不要とされた犬は、次々とその命を無理やり絶たれています。

toutouの使命


 我々toutouでは設立当初より、犬の「殺処分」を中心に動物問題を啓発してきました。

 

こうした現状を抱える今現在の日本は、動物に対する意識レベルが非常に低いことが課題であると我々は強く考えます。

 

日本のように、ペットショップで買いたいと思ったときに購入できるシステムは古く、欧米などの先進諸国ではそのようなシステムは皆無に近いのが現状です。

 

もちろん「消費者」としては、日本のペットショップでは、買いたい時に買うことが可能で、楽な気持ちで購入でき、ビジネスとしても好都合です。しかし、こうしたシステムの裏側には、無駄に殺される動物達の存在があり、それが犬の「殺処分」に繋がります。

 

欧米諸国ではペットショップでの犬の生体販売は行われていません。それは、命をビジネスに利用することは、国のモラル低下を意味するということ、そして動物たちに危険をもたらすであろうということを国民一人一人がしっかりと理解しているためです。

 

そういった意味でも、日本の動物に対する考えや意識はまだまだ後進的であると言えます。だからと言って、ブリーダーやペットショップを根絶するといった画一的な考えをもつのではなく、犬をはじめとする動物を簡単に売買するのではく、動物を飼うことはとても大変で重い責任があることをしっかり伝えていくことが大切だと考えます。

 

ここでの「啓発」を我々toutouが学生の立場で、学生の視点で考え、独自のアプローチで担っていき、国民一人一人の意識を変えていく必要が今後の日本社会では必要であると感じます。

 

無駄に殺される動物達を少しでも減らしていくためには、政府・企業、そして国民、国全体で努めていく必要があり、問題の根幹となる人間の意識を変革させなければなりません。

 

 

「伝える」ことにこだわりをみせ、動物と共生する社会を築き上げることを目標に変革を起こしていきます。

 

まずは、人々の心に対して「気づき」を発信していくことで、人間、動物共に住みやすい社会の構築に繋がると考えます。

 

「殺処分0」の、その先へ


 今現在、東京都や神奈川県をはじめ、犬の”殺処分0”を達成した自治体が増えていく裏側では、民間の保護団体さんの活躍が大きく、殺処分される前に引き取りを行い助けているのが実状です。

 

つまり、”殺処分0”の達成と言っても、一時しのぎとして、保護している場所がセンターから民間の保護団体さんに移動しているだけで根本的な解決には至っていません。

 

従って、行政が”殺処分0”を掲げ、殺される犬をだすまいと奮起している裏には、殺される犬を保健所や動物愛護センターから毎日とにかく引き出す民間の保護団体さんの活躍があり、そうした民間の保護団体さんの尽力によってギリギリで維持されている事が現状となっています。

 

 

これでは、目の前の命を救うばかりで、殺処分の根底にある問題解決にはなりません。

 

殺処分の本質を突かねば、民間団体さんの負担は増え続け、いずれは限界が来てしまいます。

 

これまでは、「殺される犬を救う」ことが課題でしたが、

 

これからは、「犬をはじめとする動物達への意識を変える」ことがこれからの本質的解決に向けてのテーマだと我々toutouは考えています。

 

そのためには国民一人一人全員が共に考え、行動していかなくてなりません。

 

 

「人間と動物たちが共生できる真の社会」を目指して


 「共生」とは字の如く、「共に生きる」という意味です。生物学の中では、「適者生存」「弱肉強食」などの概念が目立った時代があり、政治的なプロパガンダに利用されたこともありました。

 

 しかし、今日では、生物の本質はむしろ「共生」、つまり、生物種間で利益を分け合い、互いの存在を補い合いながら生きている姿であるとわかってきています。

 

 そのような意味では、ワンちゃん達の命を必死に繋ぎ止めている保護団体の皆さまは、人間と動物の、特に意識レベルでの共生という最先端の取り組みに奮闘しつつ、言葉を操れないワンちゃんたちの苦しみも代弁しているのだと気付かされました。

 

 人間も動物も暮らしやすい、豊かな社会の構築こそが本当の意味での「人間と動物が共生できる真の社会」であると提言します。